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マシコに向かう

旅行代理店が幾つかのツアーを提供しているのですが、マデイラ島の東部を巡るツアーに参加しました。ツアーのある日の前夜は雷が鳴り響き雨も降り、当日の朝も空はどんよりと雲に覆われて雨風も強くて、こんな天気でツアーは決行されるのだろうかと案じていたのですが、出発時間が迫ってくる頃には次第に雲間に青空が見えてきて天気が回復してきました。ホテルの前で待っていると、小型バスが迎えに来てくれました。乗り込むと、既に別のホテルからピックアップされた人達が車内に揃っていて、私達はラストの参加者だったようです。参加メンバーは私達を含め10人で、モニカというドイツ語の話せるポルトガル人のガイドが案内してくれました。彼女は気さくでフレンドリーな人でしたが、他のメンバーとも一緒に過ごしている内に打ち解けて和やかなムードでツアーを楽しめましたよ。ツアーは午前9時頃から午後5時頃までかかりました。天気は時折曇ったり小雨も降ることがありましたが、幸い大方青空に恵まれましたよ。目的地も風光明媚で素晴らしかったのですが、向かって行く途中も海岸線や山稜の眺めが美しくて、ずっと車窓の外を夢中になって眺めていました。

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まず向かったのはマデイラ島の南東にある海辺のMachicoという小さな町でした。Machicoと読むと、日本人ならマチコと読んでしまいそうになりますが、マシコと読みます。マシコはジョアンゴンサルヴェスザルコが率いるポルトガルの船団が1419年にマデイラ島で上陸した最初の場所で、フンシャルがマデイラ島の中心部となる前に最初の主都だったそうです。

地名マシコの由来にはこんな伝説があります。ポルトガルの船団がマデイラ島に到達する以前に、許されない恋に落ちたイギリス人の男女を乗せた船がこの島に既に漂着していたという話です。そのイギリス人の男性がRobert Machin(あるいはm)という名前だったので、この場所が後の世にマシコと呼ばれるようになったのだとか。男性は騎士だったそうですが、女性はAnne d'Arfetという名前で、男性より社会的地位が高かったそうです。資料には女性の元の姓も書かれていたので、別の人と結婚していた女性であったようです。2人が国を脱出して船で航海してる途中で嵐に遭いマデイラ島に漂着したそうですが、漂着して直ぐに憔悴しきっていた女性は亡くなり、男性の方も後を追うように間もなく亡くなったということです。船に一緒に乗っていた他の生き残った乗組員達は北アフリカにたどり着くのですが、ムーア人に捕らえられてしまいます。でもその内の1人だけスペインのカステーリャに返されることになるのですが、途中でポルトガルのエンリケ航海王子の召使いに捕らえられ、王子にマデイラ島に漂着した話を聞かせるのですよね。その話を聞いた王子はマデイラ島を発見する為に船団を送ったそうです。この伝説はエンリケ航海王子の一族が書いたバージョンで、後で色々と他の伝説バージョンの基礎になってるそうで、時代は1579年まで遡れるそうです。でもこのバージョンより古い伝説があって、その伝説は1507年まで遡るのだそうですが、この伝説では漂着した女性は亡くなりますが、Robert Machinは生き残り、島に恋人の墓を作った後で島を脱出し、スペインのカステーリャに戻るという展開。どちらにしろ、マデイラ島に恋人と共に漂着した人物の名前がこの地名の由来になっているようです。

マシコの浜

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むか〜し、昔は中心部だったこの町は小さな小さな町です。
あっという間に町を巡ることができます。

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素朴ですが、市庁舎の建物が素敵でしたね。

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月桂樹の並木が並ぶ教会前の広場。

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広場に面して15世紀の教会が建っています。

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ジョアンゴンサルヴェスザルコと共にマデイラ島に到達した
トリスタンヴァステイシエラの像が教会前の広場に立っていました。

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この教会の中にも聖母像が祀られていました。

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典型的な小さな町の光景。
ここでも野良ワンコが気持ち良さそうに寝てました。

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町の通りは石で舗装されていますが、丁度職人さんが修復してる最中だったので、
写真に撮ってもいいですかと尋ねると快く承諾してくれてパチリ。
こんな風に地面にぺちゃんと座って簡単な道具だけで作業をするのですよ。
このように一方の足を伸ばす座り方も決まってるようです。
石の舗装はマデイラ島では伝統的な職人技のようです。

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数百年も前からこんな石の舗装がされていました。

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マシコでも絵の描かれたドアを見かけましたよ。

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町のおじちゃんらが常連になりそうな小さな町の典型的なカフェですね。

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市場のたつ広場へと向かう。

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黄色い建物は海賊から自衛する為に18世紀に建てられた要塞です。

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広場にたつ市場。主婦達が買い物に来てました。

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エキゾチックな野菜やフルーツが売られてます。
右側のグリーンの長細いフルーツはマデイラ島でよく見かけましたよ。
モンステラと言うのですって。またの名をバナナパイナップルとも呼ばれるようです。
食べたことはないですが、味はキウィのようなパイナップルのような甘い味がするそうです。

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赤いのはタマリロ。

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彼女がガイドのモニカさん。花屋のおじちゃんからアーティチョークの花をもらってました。
よくツーリストを連れてここにやってくるからでしょう、顔なじみのようでした。

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河口の辺り。草がたくましく生い茂っていました。

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河口には様々な色合いのカモ科の水鳥達が集まってました。

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海へと注ぐ。

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海に面する崖の多いマデイラ島では珍しい浜。
数百年も前にここにポルトガルの船団がたどり着いたのですね。
その前には漂着した恋人達が。。

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大空では飛行機が飛んで行くところでした。
マシコの近くに空港があるのですよ。

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マシコを発ってしばらくすると、空港の滑走路が見えてきました。
高い山と海に挟まれたマデイラ空港には昔は短い滑走路しかなくて、
2000年に高架状に滑走路の拡張工事が行われました。
70mの柱180本で滑走路が支えられ、海の上にせり出している構造になっています。
滑走路の下に遊園地が設けられていたのには驚きましたよ(^_^;)

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by sternenlied2 | 2017-03-14 00:31 | 旅(国外)

木陰のアムゼル3号庵にようこそ。長年ドイツで暮らしています。日常や旅の中で出会ったものたちに感謝を込めて。


by sternenlied2