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アグリトゥリズモ

アグリトゥリズモという言葉は日本で聞き慣れているのでしょうか? agriturismo はイタリア語の農業を意味する agricoltura と観光を意味する turismo を合わせた言葉で、田園観光というような意味がありますが、農家が経営している民宿や地域の郷土料理を楽しめるレストランがそのように呼ばれているようです。元は1960年代に起こった大きな冷害によって被害を受けた農家を支援する為に労働組合等の団体が民宿事業を推進したことが始まりだったそうですが、イタリア中に広まって、安くて美味しい郷土料理が食べられると観光客に人気があるようです。その地域で生産された食材で料理することが定められているそうですが、各地の地方色豊かな料理が味わえて、アグリトゥリズモのファンは多いようです。特にサルデーニャのアグリトゥリズモは評判が良くて、旅行前にサルデーニャに旅行に行ったことのある知人達からアグリトゥリズモのレストランでの食事を薦められていました。

私達もいかにも観光客用のレストランでは無くて、オリジナルな郷土料理が食べてみたいと、事前にアグリトゥリズモのレストランがある場所を調べると、宿泊地から数km離れた所にもアグリトゥリズモがあって、行ってみたんですよね。でも開いていそうな時間帯に幾度行ってみても、いつも閉まっていて。これは予約しなければいけないのかなと、ホテルのスタッフに頼んで予約してもらいました。すると数日後の午後1時に行けるということで、その日に時間きっかりに向かいましたよ。食事に行った日は丁度何かの家族パーティーが催されていて、その親類縁者達で席はほぼ埋まってしまいましたね。私達のような個人でやってきたような客は数テーブルだけで。レストラン中が振動するのではないかと思う程、周囲はわいわいがやがや。でもイタリア映画でよく見かけるようなエモーショナルなイタリアンムードにたっぷり浸かったような心地でとっても面白い体験でした。こういうムードは観光地を巡ってるだけでは味わえません。やっとサルデーニャにやってきたなあという実感がわきました。

野外席もありましたが、屋内の席へと案内されました。
まず聞かれたのが、「予約しましたか」。
やっぱり、ここは予約無しでは入れないようです。

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飼い主が中で食事してる間大人しく外で待っていたワンコ2匹。
左側の白黒ワンコは前を通った時に見上げてましたが、ワンコもこんな風に
笑えるのかと思える程、目を細めて笑ってるように見えました^^

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中はもうこんな風に準備されてました。美味しそうなアンティパスティ(前菜)はもう既にテーブルにセッティングされてます。一目見て、わあ、美味しそうだこと!と食事が始まるのが待ち遠しかったですよ。客達は皆同時に午後1時頃に食事できるようになってました。パーティー客はちょっと遅れて席に着きましたが。

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テーブルにセッティングされていたアンティパスティ(前菜)
別の写真の一部分を拡大したので、ブレていて恐縮ですが。

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中央の筋は個人の客達。両側の筋にはパーティー客。
外国人は私達だけのようでした。他は全部イタリア人。

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アグリトゥリズモのレストランの建物。

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料理は全てお任せで、この日は何の料理が出されるのかさっぱり分かりませんでした。皆に同じ料理が振る舞われるのです。何の料理が登場するのか、まるでびっくり箱が開くのを待つようなワクワク感。飲み物だけ注文しましたけど。通常はミネラルウォーターだけを注文するのですが、この時は赤ワインも注文しました。地酒のワインはブドウの風味が味わえるような芳醇な美味しさでしたよ! 

さて、食事開始。前菜から。一杯にパンが盛られたバスケットにはサルデーニャ名物の平たく焼かれたパーネカラザウももちろん入ってますよ。ここのパーネカラザウはパリッとした美味しさでした。既に各テーブルに置かれていた前菜は、パプリカやズッキーニ等のグリル野菜のマリネとオリーブの実の盛り合わせ、そしてサラミとチーズ。どれもこれも新鮮な美味しさでした!

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このサラミは絶品でしたけど、他の前菜がたくさんあって、これも食べてしまうと、メイン料理が食べられそうになかったので、2切れだけ食べて、非常に勿体なかったけど、残しました。チーズには手をつけてません。これもお腹が一杯になりそうだったので。夫もこの1皿には手をつけてませんでした。

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前菜はこれだけかと思っていたら、更に温かい前菜として運ばれてきたのが、
焼き立てほかほかのパイやミニパプリカの詰め物。
これが美味しかったのなんのって! この皿にのってるのは2人分ですよ。

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冷たい前菜も温かい前菜も取り皿に取って食べます。
前菜で既にお腹が一杯になりそうでしたあ(^_^;)
地酒のワインがよく合いましたねえ。

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これで前菜は終わりかと思いきや、前菜パスタの登場。イタリア料理のコースではメイン料理の前にパスタが出るのですよね。2種類ありました。手前はサルデーニャ伝統料理のソーセージをトマトで煮込んだラグーとペコリーノのニョッケッティサルディ。ニョッケッティというのは小さなニョッキのようなパスタ。このニョッケッティの場合、ニョッキのようにジャガイモは使わずセモリナ粉を使います。後方のは詰め物入りパスタ。似たような料理がドイツ南部のシュヴァーベン地方にもありますよ。

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お皿に取り分けました。パスタも両方とも美味しかったです。

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詰め物入りパスタは中はこんな感じ。
リコッタか何かチーズを詰めていたような。

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その次に出てきたのが生野菜。
ドレッシング無しで、そのまま生でかじります。
チェリートマトと人参とフェンネル。

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もうお腹がパンパンになった頃にメイン料理がやってきましたよ。外で何かローストされていたと思ったら、仔豚のローストのようでした。香ばしく焼けていて美味しかったですけど、もうこの辺りになると、味わうというよりは奮闘でしたね(汗)勿体ないけど、2切れ程食べ残しちゃいましたわ。夫も食べきれなかったようです。前菜のサラミとチーズも残しましたけど、あとは全部頑張って食べましたよ。

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でも Dolce デザートが待っている(^_^;) これもとっても美味しかったですよ! 揚げ菓子は以前の記事「キアのレストランにて」に載せているサルデーニャの伝統的なスイーツのセアダスのミニサイズのようなお菓子でしたね。このお皿は1人分です。

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午後1時にやってきたのですけど、間を開けて運ばれてくるので、食べ終わったのは午後4時でした。イタリア人は食事に時間をかけますね。周りでわいわいがやがやと長い時間をかけて食事に興じてるイタリア人達を眺めていたら、なんだか古代のローマ人達が時間をかけて一日中ご馳走を享楽している姿を妄想しました(笑)

料理はひとつひとつ上質で、感激する程とびっきり美味しかったし、店の人達もフレンドリーで、イタリアンムードにどっぷり浸ったような面白い体験でしたけど、正直食べ切るまでにどっと疲れましたわ。こんな体験は一度だけでいいわ。食べきれないですもの。自分で注文できて、もっと量が少なければいいいのですけどね。夫はオリジナルなイタリア料理が味わえるアグリトゥリズモ体験をまたしたかったようですが。薦めてくれた人はしょっちゅうアグリトゥリズモで食事するらしく、アグリトゥリズモでしか食事しないという人もいるくらいなんですけど、こんなにたくさん食べられるなんて! ちなみに何の料理が出されるのかも分かりませんでしたが、事前に値段も知らされていなかったのです。アグリトゥリズモは安く美味しく食べられると聞いていたのですが、それでもどれほどの勘定になるかちょっと案じてました。でも勘定書に記された金額は恐れていた程の金額ではなくてホッとしましたよ。2人で飲み物も全部合わせて70ユーロなり。換算すると、8800円程。ちょっと疲れはしましたが、でも体験してみる価値はありましたね。美味しい料理だけでなく、イタリアンな雰囲気を心ゆくまで楽しめましたもの。翌日もお腹一杯でしたけど(笑)


by sternenlied2 | 2017-06-29 01:18 | 旅(国外)

木陰のアムゼル3号庵にようこそ。長年ドイツで暮らしています。日常や旅の中で出会ったものたちに感謝を込めて。


by sternenlied2